ジュウブンノキュウ

http://www.ccbb.tv/9-10/

・・・を見てきました。
前に映画館で予告を見たときは、高校の野球部の同窓会に集まった9人の男が、昔話をしているうちに、空白の存在に気がついて、それがいったい何なのか、誰なのか、探し当てる推理モノだと思っていました。でも、実際に見たら、推理モノではありませんでした(^^;

オチを隠しては何もかけないので、ネタバレありで感想書いちゃいます。

ひどい言い方をするなら、映画は最後まで「男9人が同窓会に来て、べらべらしゃべるのを聞いてるだけ」のものでした。自分もそこに参加して話を聞いてるような感じになるんですが、ただ聞いてるだけで何もできないのが自分にはしんどかったのか、正直疲れました(^^;) カメラアングルも一緒に参加してる人間の視点を意識したのか、見ていて何度も酔いそうになり、ちょっとげっそり・・・。
ですが、終わり方がすごくキレイで、最後にヤラレターと思いました。


・男が鼻歌うたいながら車に乗って同窓会が開かれる場所に到着する。
・並べられた10個のイスを確かめる男。
・男はじっとメンバーの到着を待つ。
・メンバー到着。全員で9人。
・メンバーが集まって話が進むと、はじめにいた男の存在が消える。
・9人で同窓会スタート。
・自己紹介やら、自分が今何してるやらの話に。
・部員全員の鍵を差し込むことで開けることができるタイムカプセル登場。
・鍵を差し込んだが、穴が10個ある。1つ足りない。
・誰かを忘れていることに気がつく。
・誰だったか、みんなで必死に思い出そうとする。
・思い出せない。
・でもがんばる。
・がんばる。
・がんばる。
・・・・。
・真実にたどり着く。
・リーダーだった男が事故で倒れたことを思い出す。
・場面転換。
・ベットに横たわり目覚めない男のもとに、9人が集まる。全員で10人になる。
・最後の一つの鍵を差し込み、タイムカプセルをあける。
・出てきたのは、その男との思い出の写真と野球のボール。
・エンドロールで、現在の10人の本当の職業が明かされる。
・はじめに紹介があった職業と違うのに気がつく。




ココからは私個人の解釈です。
空白のある世界は、結局その場にいたメンバーの理想とか、こうだったらいいな、というものが集まってできたものだったんです。本当は、当時一緒にいたメンバーのリーダー的存在だった人が、試合中の事故で意識不明となり、現在も寝たきりになってしまっていて、そんなつらい現実を忘れてしまいたいと思った結果、メンバーの意識の中に「理想の同窓会」が生まれました。そこでは、空白を埋めるためにいろんなウソが生まれました。でもそれらは、仲間を思いやる心から生まれたものでした。記憶が曖昧なところがあると、ウソをついて、「それ、俺だよ」と言って気遣ったりして、みんなが一生懸命、かみあわないところを補正しあいました。でも結局最後は真実にたどり着きました。真実にたどり着こうとしたのは、忘れたいけど、忘れちゃいけない大切なものだと、気づいたからだったのかもしれません。
真実を知ってからもう一度見たら、きっとみんなの気遣いが、痛いほど伝わってくるんだろうなあ。こういうのって、男の子だからできるんですよね。本音でぶつかりあう女の世界では、こういうの、なかなかないですよ(^^;)
一生懸命、こうだったらいいなを目指してるけど、結局うまくいかなくて平凡に生きてます、みたいな作りが、同世代の私にはすごく心に響きました。こうありたいっていう思いは、いつまでたっても消えないんですよね。この感覚は、きっと女の人より男の人のほうが共感できると思います。

ちょうど私も映画と同じ96年度卒業なので、いろんな想いがシンクロして、見てよかったなあと思えました。最初はしんどかったけどね(^^;) 舞台挨拶にいらっしゃってた武田さんのおっしゃる意味がよくわかりました。2回目はだいぶ違って見えるはずです。舞台挨拶のとき、撮影しながらすごく仲良くなったという話をされていましたが、おっしゃってたとおり、最後にみんなで鍵を開けるときの自然なアドリブはすごくよかったです。「作られた仲良し」ではなかったです!


なんか、勢いでだらだら書いちゃいました。とりあえず、良かった!ということで。